再び入院、そして春になる

梅の花も散り、沈丁花が匂うようになりました。 いつの間にやら春がやってきて、年が明けてからというもの、何とも落ちつかなかった生活が、ようやく日常を取り戻し、日々がすぎてゆきます。 1月の体調不良が続く中、大寒の翌日には再び緊急入院し、翌日には…

新年

新年明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い申し上げます。 今年は時間もありましたので、おせちもすべて手作りして、珍しく穏やかな年明けとなりました。 うちの漆器は古いものばかりなのですが、中でも年に一度だけ登場する、一富士二鷹三…

よいお年を

年毎に季節が薄れてゆき、年の瀬も正月も昔のような厳かな感じがなくなってしまったようで、寂しくもあるけれど、それでも「よいお年を」の言葉を聞くと、今なお何とも言えない気分になる。今年は立冬頃、軽井沢の稽古を終えた帰り際に「先生、よいお年を」と早…

能舞台 歴史を巡る

今日は冬至です。発売から少し時間が経ちましたが、写真家の森田拾史郎先生の写真集が発売されました。 先日銀座シックスの蔦谷にて、トークイベントがあり、稽古の後に行ってみました。 森田さんは究極のシャイであり、公に出てもほとんど言葉を発しません…

猫ぐらし

私の一日は、猫で始まり猫で終わる。寒くなってくると、多いと4匹の猫がふとんの上に乗っていて、苦しくて目が覚める。身動きがとれず、片隅で私が寝る羽目になる。それから飼育係のようにあっちへこっちへと、ご飯の時間となる。 この二年近くの間に、5匹…

戦場ヶ原

少し前ですが、紅葉前の奥日光の戦場ヶ原を歩いてきました。昨年の今頃、慌ただしい日々の中で、来年の春になったら山登りにチャレンジしてみたいなぁと、密かな願望をもちながら舞台に向けての日々を過ごしていました。ところが春になると山登りどころか、…

そして、再発

日にち薬に身を任せて、すべて前向きにこれからよくなっていくものと思いながら、また一から少しずつ進んでいこうと思っていたのですが、8月の術後の経過検診で、まさかの再発がみられ、お盆中は再検査で病院通いになってしまいました。 それを告げられた時…

療養生活と復帰

長い療養生活が始まり、入院中よりもむしろ精神的にはきついものもありました。私の場合急な手術だったので、何の心構えもなく、突如歩くこともままならない体での日常生活に、戸惑いと不安がつきまといました。入院中は皆病人ばかりで、ベットで大人しくし…

緊急手術と入院

4月の半ば過ぎ、救急車で運ばれてそのまま緊急手術となり、入院していました。突然のことで、何がなんだかあれよあれよという間に日常が一変してしまいました。 とはいえ長らく抱えていた病気が悪化してのことで、激しい痛みに動くことも立つこともできず、…

引っ越しました

台風が過ぎ去り、秋晴れの10月のはじまりとなりました。そもそも更新をしないのが常になっておりますブログでしたが、更に長らく滞っておりました。そのままになってしまいそうでしたが、この度はてなブログに引っ越ししまして、また綴れる時にはと、細々と…

色は匂へど散りぬるを

四月に入りました。 早咲きの桜も散りだし、この時期のもの哀しさもあるけれど、同時に新しい季節がはじまる喜びも感じられ、すべてが足早に移ろっていきます。 思えば舞台も、一瞬で散る花のようなものかもしれません。 まるで何事もなかったかのように、何…

雪と氷の世界

梅が香る。 春の匂いが懐かしく感じます。寒さと雪に厳しい冬を堪えながら迎える春ほど、待ち遠しいものはありません。 大雪に見舞われた地方の方々を見ると、四年前、自分も移住先の寒冷地で記録的な大雪に町がすべて閉ざされて、その脅威を肌で味わったこ…

公演が終わりました

1月20日の俵菜緒舞の会を、無事終えることができました。 お越しくださいました皆さま、本当にありがとうございました。 今回二曲とも、形も趣もまったく違う恋の唄。 「縁の綱」では珍しく、娘の衣裳で舞いました。本行物の「葵の上」は奥許しの大曲。 源氏物語…

年の瀬

今年も終わりとなります。 残すところあと一日などとは、とても信じられません。とにかくも あなたまかせの 年の暮れ 一茶 目まぐるしい日々でしたが、年の内にかつら合わせ、下ざらい、劇場打ち合わせなども終えることができました。かつら合わせといいます…

公演のお知らせ

嵐の真っ只中にも関わらず、皆さんにお集まり頂きました会を終え、改めましてリサイタルのお知らせをさせて頂きます。 第5回 俵菜緒 舞の会地唄 「縁の綱」 俵菜緒お話 津村禮次郎地唄 「葵の上」 俵菜緒唄・三絃 富田清邦 笛 松田弘之 平成30年1月20日(土) 紀尾…

江古田音楽祭

江古田音楽祭で舞わせて頂きます。お座敷で気軽に観られる会ですので、お近くの方は是非足をお運び下さいませ。 10月22日(日) 4時30分から チケット 2500円 ギャラリー水・土・木 みずとき 月影の間03-3955-2508 g.mizu.to.ki55@gmail.com

夏の終わり

夏も終わります。 最後は夏風邪のフルコースで、床につきながらの8月の終わりでした。熱でうなされることは辛いですが、ちゃんと休めといわれているのだと、最近は休息の機会と捉えて、無理せず焦らずただ治すことにしています。 頭や心が複雑になりすぎてし…

ワークショップ

地唄舞、お稽古体験ワークショップのお知らせです。 古典芸能である地唄舞を、気軽に楽しみながら体験して頂けます。立ち座りや足の運びからはじめ、お扇子を持って舞うことまでをお稽古していきます。西洋文化の匂い多き軽井沢ですが、古い日本の芸能にご興…

光琳と其一

立夏 蛙始鳴 かわずはじめてなく 端午の節句 毎日家の前にノビタキのつがいがやってきて、美しい囀りをきかせてくれます。 用事の合間をぬって、根津美術館で尾形光琳の燕子花図屏風と鈴木其一の夏秋渓流図屏風を見てきました。 今までなぜだが縁がなかった…

多田富雄さん

先日、免疫学者である多田富雄さんの命日に、発刊記念イベントがあり行ってきました。 稽古のあと、歩きついでに築地をぶらぶらしながら浜離宮朝日ホールに向かいました。日頃科学とは無縁な私が、多田先生を知ったのは、どんなきっかけだったのかうろ覚えで…

森田さん、傘寿

おととい、写真家の森田拾史郎さんの傘寿のお祝いと、新たな写真集出版記念パーティーが恵比寿でありました。祝辞もシメの言葉もなく、ただ飲んで話して楽しく過ごすという、あまり類がないゆるやかな集まりが、いつもながら心地よく思われます。 お集まりの…

菜蟲譜に会えました

11月は慌ただしさも相まって、体調を崩してばかりの日々でしたが、半ば過ぎ、何年も何年も会いたくて会えなかった伊藤若冲の「菜蟲譜」に、ようやく会うことができました。何を隠そうこの日記の題もここから拝借したもので、この作品がまさかの地元付近に所蔵…

秋雪

秋雪 文字どおり秋に降る雪。数年前、桜に雪が降りたこともありました。 山桜でした。 雪にまつわる言葉だけでも、どのくらいあるのかしらと思います。 淡雪、牡丹雪、玉雪、霧雪、細雪… まだまだ日本語も日本も美しい。

めぐる季節

小雪も過ぎました。 昨日の朝方大きな揺れで目覚め、テレビをつけると震源が福島でした。そのまま眠れませんでした。お稽古に行き、そのあと用事のため歩いて銀座に向かうと、ブランド店のクリスマスの無機質な電飾から目を伏せて、足早に帰りました。 遅れ…

集いの夜と海女のこと

一昨晩、この四月よりはじめたお話の集いがありました。 古典からみる日本の美、日本の心ー として、今回で三回目となります。きっかけは、日本の芸術や文化に興味があるけれど、入るすべがわからない…という声に、何か古典への入口にできることはないかとい…

地唄舞を楽しむ会

すっかり秋めいてまいりました。 会のお知らせをさせて頂きます。 地唄舞を楽しむ会地唄舞 菊の露 俵菜緒 お話し 俵菜緒 仕舞 海士-玉之段- 中村政裕 地唄舞 珠取海女 俵菜緒 平成28年11月12日(土) 午後2時30分開場/3時開演 於 栗田美術館(山荘) 入場料 5000…

素敵なもの

お友達の森田節子さんの展覧会が、表参道のプレインピープルで開かれています。初日からだいぶ日が経ってしまいました…。 (搬入時にもらった写真より)節子さんの織りなすワイヤー細工の世界は、繊細で本当に素敵です。 今年7月より、軽井沢にお店もオープン…

彼岸過ぎまで

久しぶりの晴れ間に、少しほっとしたけれど、また雨がふりだした。雨ばかりのお彼岸だった。そういえば漱石の「彼岸過迄」は読んでいないことに気づく。 盆と彼岸にはおはぎを作る。 春の彼岸は、牡丹→ぼた(ん)もち。 秋の彼岸は、萩→おはぎ。 同じ食べ物で…

薪能と写真展

時間が過ぎてしまいましたが、10日に足利薪能がありました。私自身もおそらく6年ぶりくらいになってしまい、本当に久しぶりに足を運べました。鑁阿寺(ばんなじ)の境内で今年で32回。 能を築いた室町時代にまたがる、足利家菩提寺でのことですので、これから…

勝手なおもい

台風が過ぎ、秋の気配が漂います。 お盆の行事が済むと、セミとヒグラシの声が入りまじり、さみしさも訪れます。毎日あちこちから採れたての野菜をもらい、それを調理してまたあちこち配り、それも少なくなって、夏の終わりを感じます。 初夏から何かとにぎ…