年の瀬

 

今年も終わりとなります。
残すところあと一日などとは、とても信じられません。

とにかくも あなたまかせの 年の暮れ  一茶


目まぐるしい日々でしたが、年の内にかつら合わせ、下ざらい、劇場打ち合わせなども終えることができました。

かつら合わせといいますのは、舞台でのせるかつらはすべて一つ一つ、言わばオーダーメイドです。
まず自分の頭に合わせた土台となる部分を細かな作業を経て作り、そのあと演目、衣裳にそった髷を結ってゆくもので、舞台で一曲使えばそれで終わりとなります。
その工程を床山さんが担ってくださるのです。

例えば前回「雪」では大丸髷(おおまるまげ)。
「山姥」では十能(じゅうのう)という形の髷に結って頂きました。


下ざらいは舞台稽古のようなものなのですが、地方(じかた)の先生と音を合わせる稽古となる唯一の日で、あとは本番当日となります。

地唄の富田清邦先生と、「葵の上」では能の笛方であります松田弘之先生ともご一緒させて頂きます。
諸先生方にお集まり頂き、私はいつも慌てふためいてばかりなのですが、一つ一つの時間がなんと贅沢で豊かなことかと、落ち着いてみると有り難さで一杯となります。


今年を振り返る余裕などはさっぱりなさそうですが、ただ、今の自分を思うと、こんなにも何にもない私でも、まわりの方々それぞれに、皆さんに支えられて何とかこうしていることを、いつになく感じられる年の瀬となりました。
いつも応援してくださる皆さま、今年も本当にありがとうございました。


最後に、下ざらいの日もお忙しい中駆けつけてくださり、ご助言も頂きました津村禮次郎先生が、元旦、NHKのEテレ12時30分〜「すごいぞ!日本」に出演されるそうです。
お家にいらっしゃる方は、ぜひご覧ください。

また、公演では、津村先生に葵の上のお話をして頂きます。
必ずや楽しく興味深いお話となると思いますので、ぜひ劇場に足をお運びくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。


三週間後には幕が上がります。(これも信じられません!)
皆さま、お身体にお気をつけて、どうぞよいお年をお迎えください。