白露


9月となり、もう白露。
草花に露がおりる頃。
 
今年に入り、何をしていたのかすぐに思い出せないほどの日々のままに、終わりも近づいてゆく。

予定していた今年の公演もなくなりました。

今頃は猛烈な毎日を送っていたはずが、急にぽっかりしてしまい、ひたすら山ごもり。
ひどい時は何日も人と話さず、猫はもちろん、虫や花に話しかけているのが常になっています。

あげく長雨が続き、今日は9月に入りようやく青空が顔をだしましたが、朝はもう9℃。
まさに白露となりました。

山の中にいるので下界より秋の訪れも早く、秋草もとおに咲いていて、萩や葛の花はもう終わりを迎えています。


お天気でしたので、久しぶりに町の方に降りて少し散歩し、数少ない心落ち着く場所へ。

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室生犀星庵も静かに初秋を迎えていました。
その向かいで一時間ほどお茶をして、何冊か詰めた本の中に犀星のものがあったので、せっくなのでそれにした。
犀星の家の向かいで犀星を読む。

大変贅沢な時間です。

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どうにも私にはせいぜい明治、大正、昭和くらいの匂いがしっくりくる。
現代に生きている気がしない。
どうしたものか。


「菊の露」という演目があります。
小曲で、小菊の露と自分の涙とを重ねて唄った曲で、何年か前に久しぶりに舞った時、その曲の歌詞に友人がたいそう心うたれていた。
日本人は素晴らしいと言っていた。



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葛の花

秋の七草
萩、尾花(薄)、桔梗、撫子、女郎花、葛、藤袴 

遡ると万葉集巻八、山上憶良の歌にたどりつく。


さて日本人として何ができるのか。
こうしてはいられません。