一隅を照らす

早いものでお盆も終わりに近づき、雲も月も秋めいた感じになってきました。

少し舞から離れた生活を送ってきましたが、自然や動物や虫や戦争で失われた無数の命のことばかり思いながら夏が過ぎてゆきます。


アフガニスタンで銃弾に倒れた中村哲医師のドキュメンタリー映画「荒野に希望の灯をともす」が先月より公開されています。

行こうと予定すると体調が悪くなったりで未だ足を運べていないのですが、必ず劇場で観たいと思っています。

尊敬する人はと聞かれれば、ふと思い浮かぶのは田中正造南方熊楠で、共に立場の違う明治の人ですが、同じ時代を生きた方では中村哲医師その人です。

中村先生の生き様は、先生に助けられた現地の人ばかりでなく、この末法の世の有様に嘆く私達にとっても、深い灯火であります。

生前どなたかの「なぜそこまでするのか?」のような問いかけに、中村先生は遠慮がちにただ「一隅を照らす」と答えていたような記憶があります。

その時私に一体何ができるのか…と、胸に迫る思いがありました。


映画「荒野に希望の灯をともす」
http://kouya.ndn-news.co.jp

現在東京のポレポレ東中野をはじめ、順次公開です。
偶然ですが、監督は同郷の足利出身の方で、それだけでも嬉しく思います。


ひと度舞台から降りれば、公演が終わった直後から野良子猫2匹を一時預かりし、その間介護犬を含め10匹以上の犬猫大家族の時を経て、今また時折やってくる野良猫を、さてどうしたもんかと考えているところです。


蛇がやってきて大騒ぎしていた鳥のヒナが、深い排水溝に落ちてしまい、これまた親鳥がどうにもできず鳴いていて、3羽何とか救出したことがありましたが、晩夏にもなるとヒナの声はもうどこにも聞こえず、蝉とヒグラシの声が入り混じり、終戦の日を明日に控えたこの頃は、毎年何とも言えない気持ちになります。

祖父の一人は戦死しましたが、いずれその事実も風化し、この国が悪しき方向に向かう予感が何年も心から消えません。
 

草木も、鳥も、野生動物も、犬猫も、弱い立場の人々も、万物の生命が無下にされない世の中になることを願います。

たとえそれがほど遠い現実であるとしても、自分がそう思うならば、その気持ちに蓋をせず、毎日を送りたいと思います。