蘖 ひこばえ
今時分の季語。

若葉の頃は、一斉に生命が動きだし、景色がめまぐるしく変わってゆきます。

私も動物や植物と同じく、3月、4月と多くの素敵な出会いや素敵な人たちとの関わりと場に、色々と芽吹いてゆく日々を送っていました。

人に恵まれて生きられることは、私の人生で一番の宝だと思っています。



そんな中、新しい試みも始まったり、
また、つい先日はお招き頂き、お話と舞を舞わせて頂きました。

お客さま、ほぼ皆さまが初めて地唄舞を観る機会であったようですが、
「観てみたかったけれど機会がなかった」
という声があるのは少し前の世代の方々で、
現在ではほとんどの方が
「観たことも聞いたこともない」
が現実なのを実感しながら幾月を送ってきました。

日本は遠くなりにけり

どうしたらいいのか−と果てしないことを考えても仕方がないので、自分にできる小さなことをやり続けていこうと思っています。


この間、親しくしている作家さんの二人展を見に西荻窪のギャラリーに行った折り、初日のパーティーにそのまま参加させて頂きました。

作品にぴったりの素敵な空間で、手作りのお料理が運ばれてくる中、宮城のかまぼこやお酒などがあり、相手の作家さんが被災地から来たことを知りました。

石巻がご実家で、ねこそぎ消えた場所に会社があったそうで、私のふみ込んだ問いかけに、とても遠慮がちに控えめに話をされる姿が東北の人そのもので、自分でふみ込んでおきながら、胸がつまってしまいました。

この5年間、東北のことが頭の片隅から消える日はなかったように思います。
だからと言って無力極まりないですが、忘れることは決してありません。
ですがキラキラした灰色の東京の街にいると、何事もなかったかのように感じる矛盾を常に抱えます。


こうして地球に住まわせてもらってる以上、普通に暮らしていけることなどは、本当は奇跡のようなことなのを、つい忘れがちになることを自覚しなければなりません。


熊本もあれから2週間がたちました。
大分の被災地には、無事は確認できたものの、知人もいます。
3月11日の時も、心配して連絡をくれました。

不安な日々が一日でも早く落ち着きをとり戻すことを祈るばかりです。
熊本地震で被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。