秘めた美

二十四節気とは本当によくつくられたもので、雨水を過ぎてからは雪どけや鳥のさえずりに春の近づきを感じます。

古くからの日本人の自然を見る目や美意識は、こんな時代になろうがなるまいが、どこかで変わらず残り続けています。


この間の公演でも、小さな誰の目にも映らないことにさえ、美しい日本が溢れていました。

例えば着物の紋ひとつにしても、
「雪」には雪輪の中に葦が銀糸であしらわれ、
「山姥」には蔦柄の縫い紋が、
というように、お客さまからはわからないような細部にも、曲の思いが込められています。

「山姥」のかつらの前ざし(かんざし)なども、金漆の蒔絵で遠山が描かれたものですが、これは私でさえ見えないものです。


そんなふうに、誰に見せるともなくつくられていく密やかな美しさにふれるたびに、幾度となく心を救われます。

どうしても世の中に目を向けると、眉間にシワを寄せたくなりがちですが、残り香のように消えることなく続く心もあるのだと、改めて思います。


神は細部に宿る


そういえばサッカーの日本代表だった岡田監督も言ってたなぁ。